La mer bleue

紫野いき・3

久々に来たキャンパス。いたいた、長門が。
いつものように1人でベンチに座って、本を読んでいる。

「これ、あんたんだろ。落し物」
俺は長門にハンカチを差し出した。
「ありがとう。私、あの時、落としてたのね」
ニコリともせずに長門は受け取った。


そしてあいつは「おはよう」とか「こんにちは」を言うように俺に「新藤君、私と付き合って。好きだから」って言った。

「あぁぁぁーーー?長門ぉ?お前、いきなりキス俺にかましてそれから告白かよっ!お前、おかしくねぇ?普通、逆じゃねぇ?」

「あら?そう?」シラッと奴は言う。
すましてりゃ、いいってもんじゃねーんだよっ!

「あなた、いつもそこら辺の女の子と一回きりのセックスして捨ててるでしょ。だから、まずキスくらいしないと付き合ってもらえないかと思ったの」だと。。。

ムムムムムムッ!なんだよっ!

「あんた、俺の事、調べたの?」
「調べたのは家に出入りしてる公安の人。危ないのがいるから気を付ける様にって。でも、左翼じゃないから大丈夫とも言ってたわ。それに新藤君、喧嘩強いって」

こいつスゲー余裕かまして、俺に言うんだよなぁ。
ムカツク!
あーー、よくわかんねえ。こいつ、俺に告白してんだろ?
なのになんで俺が動揺してカッカくんの?おかしくねぇ?

「んで、俺と付き合いたいわけ?お姫さまは?」
「ええ、そうよ。私、あなたが好きみたい」だと!

なんかずれてない?この女?
お姫さまって王子様を大人しく待ってんじゃねぇの?
それにあんま熱意が伝わってこないし。

「お前とは付き合わない!俺、女に不自由してないから。んじゃ、また」
俺はそう言って、きびすを返して歩いて行った。

「待って!」と長門は俺の腕を引っ張り、抱きつき今度はあいつから唇にキスして舌を俺の中に入れてきた。

「んん・・・」

負けちゃいられねぇんで、俺も長門の舌を絡めこれ以上ないほど強く吸いついた。

ん?長門は少し震えてる。。。やっぱりな。。。
虚勢はるんじゃねぇっぅーの。

「お前さ、何?なんでそんな事するの?」
「私、振られるのイヤなの」
「・・・・・・・」何て言えばいいんだよ。
俺はお姫さまで成績優秀な女なんかイヤだっつぅの・・・。

「あなた、イロイロ女の人と付き合ってるんだから、私とも付き合ってくれてもいいじゃない」
あの氷の女王が赤くなっている。こいつマジかよぉ。

「いきなりキスするは、付き合えだ。お前、落ち着け。な」

ふと、気が付くと俺達のやりとりって学内のキャンパスのベンチでしてたわけで、いつの間にか周りに人垣が出来て、見物してる。
どうやら、俺達、一部始終を見られてたみたいス。
どうすんの?俺?


「何だよ!見世物じゃないんだよっ!」俺が一喝すると笑いながら、ザワザワとみんな去っていったが、同じゼミの立石がニヤニヤしながら近づいて来た。

「へーっ、広瀬ゼミ、異色のカップル誕生かぁ!氷の女王とさぼり番長がねぇ。こりゃ、おもしろい。新藤、まっ、頑張れよ!」だと

俺と長門は付き合う流れになっちまった。
これってお姫さまの作戦勝ちかよっ!