私のテディベア― 4

なんなのよ!あの、ウォレンって男!
大きいだけのオタク?きっと、3次元の女とは付き合えないのね!
ふんっ!スタンの友達だもん、きっとゲイよ!ゲイにちがいないっ!
スタンといい、進といいい、ウォレンといい、どーして、私の周りってまともなのいないの?

やっぱり、私には仕事しかないのかしら。つまんなーい!

その夜、新しい出会いに期待していたレイコはハァとため息をついて、ベッドにもぐりこみ眠りについた。

数日後、スタンから電話がかかってきた。
「レイコ、ご飯食べようよ。今日はいつものチャイニーズレストランどう?」
「OK!じゃ、7時ね!」

チラと時計を見ると6時。やりかけのレポートのファイルを閉じ、コンピュータのスイッチを切って自分のオフィスを出た。

「レイコ!ここ!ここ!」スタンがヒラヒラと手を振っている。
その隣には、大きなあの男が座っている。

あ、またいる!あの熊男!

「スタン、おまたせ!あら、ウォレン?この間は送ってくれてありがとう」と席に着き、ジロジロとウォレンを見た。
「彼、レイコに会いたいって言うから連れてきたんだよ」とスタンがレイコにバチンとウインクをしながら、言った。ウォレンはレイコを無視したように静かにワインを飲んでいた。

「そ、そうなの……?」

「ウォレン、レイコ来たよ」とスタンはウォレンに言った。

ウォレンの頬が赤くなった。

「レイコ、この間は楽しかった」とウォレンはレイコをまぶしそうに見て言った。

「そう……」レイコは何と言えば良いかわからなくて、そう言っただけだった。
楽しかったって、なーんにも話してないよ、私たち。
この人、アメリカ人なのに日本人の男以上に内気なの?

スパゲティやチキンマルサラ、サラダなどを食べながら、レイコはスタンとジョークを言い、
今度、提出する論文の話をして、スタンの意見を聞いた。

「私、昔ね、ほぼ一年間、黒人の母子家庭で生活保護を受けてる人の家に居候したことがあるの。日本人のアメリカの生活のイメージって、白人のアッパーミドルのフルハウスってトラマとかとかなのよ。だから、貧しい黒人の女の人の暮らしってどんなんだろうって思って、研究を兼ねて暮らしたことがあって、その時の日記やメモを元に、日本人研究者から見たアメリカの黒人女性やその家族の暮らしを比較文化の観点から見て論文にしようと思ってるの」

「ふぅーん。ずーっとアメリカ人やってる僕だって、黒人の母子家庭の実態は知らないや。日本人の女の子って金髪と黒人の男に弱いんだろ?レイコは黒人の男より女に興味があるわけだね」とスタンは皮肉っぽく言った

「あのねぇ、私が真面目に話してるのにそれはないでしょぉ!スタン!」

「ごめん、ごめん。レイコからかうと面白いんだよね」

その間、ウォレンはたまに笑うだけで、無言だった。

この人、なんでここに居るんだろ?こんなに大きな男なのに存在感のない人ねぇ。

デザートのパンナコッタを食べ、エスプレッソを飲んでいる時にウォレンが突然レイコに言った。
「レイコ、突然だけど。レイコは今、ボーイフレンドいないんだよね。暫くの間、僕のガールフレンドのふりをしてくれない?」と早口で言った。